2018年2月18日日曜日

(少々ネタバレ)ちはやふる194首&195首所感


昨晩、
密林に発注していた本が届いたのだが、
その中に社会人文学分野で用いられる学術用語としての
「構造主義」ということばの定義記述があって、

一般的に使用される同文言とは
異なる趣きで用いられていることに興味をひかれたので、
備忘のために記しておく。

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「構造主義という考え方とは、
 何事も最初から本質的な性質を備えているわけではなく、
 さまざまな作用のなかでそう構築されてきた、と考える視点」


--------------

経験知として我々はこういった視点と認識を
ぼんやりと持っている気がするのだけれども、

あらためてそのような視座からじぶんを振り返ってみたとき、

じぶんというものの組成には
周囲のまなざしによって構築されてきた部分が
確かにあるかもしれないな、いや、あるのか。…んん?
むしろおおいにあるとかいえるのではないか?…とか思えてきて、
ちょっと、おぉ…となった。

--------------

してみると、
現在その戦法がちょっとした物議を醸している某彼も、
今はアレな感じであったとしても、

かくあれかしと友や先達にまなざされるという作用の中で、
いずれは“なりたかったじぶん”に到達することができるのではないか。

特に、
何があっても彼のことを諦めないふたりの友の寛容のまなざしは、

“ふたりの居るところに行きたい”という彼の心底の願いを
あるべき軌道に設置しなおすはたらきがあるものと考える。


(…それにしても…ふたりとも彼のまるごとを本当によく受け入れている。
  なかなか出来ることではない。しかもその年齢で。
 じぶんたちが彼から受けた悲しい振る舞いについて、
 例えば周囲から許さなくていい、とどれだけ言われたとしても、
 きっとふたりはそのままの彼を受け入れるのだろう。
 ふたりにとってそういった一切は赦す赦さないの次元のものでは無いのだ。
 かるたを通したふたりの彼に対する信には凄みがある。
 ある意味尋常ではない、と言ってもよいかもしれない。
 この恐るべき寛容の源はなにか、と思わずにいられない。)

だが、
ものごとが適切に“熟成”するには
整備された環境とともに、“一定量の時間” が必ずや必要である。

ので、
彼のあらちはステージへの到達という変容には
まだ暫く時間が必要になるのだろう。

(…ということで、
 26巻からずっと待機させられてますが、まだ掛かるのか…長いよ…。)

--------------

ところで、
「時間」といえば、

彼が今あの様な戦法で
いわゆる競技の王道に対抗して勝ちを得ようと奮闘しているのは、
まさに「時間」をショートカットするため、と、いえるだろうけども、

(本来ならば時間の積算としての
 “練習量” が強さという “質” に変換されるのが
 様々な競技における定石であるところ、
 物語上、彼が即席に高位者に伍するためには、
 量質変換に必要な「時間」を省略、あるいは無視する必要がある。)


仮にこの戦法で勝利を得たとして、
かるたという競技の本質(e.g. 音の聞き取りと聞き分け、取りの速さとその技法、
戦略的な札の位置と送り札の選択等々…)に照らしたとき、

彼はその勝利を心底清々しいものとして
受け取ることができるのだろうか、という懸念がある。

つまり、
実利を得る為にトリッキーな戦法で得た勝利に対し、
基本的に心根が生真面目である彼ははたして納得ができるのか、という懸念。

--------------

確かに、
勝負の世界においては「勝利」こそが絶対善である。

よって、
彼がメンタルトリックを戦法として採用し、
勝ちをもぎ取ろうとすることじたいは恐らく誤りではない。

しかし一方で、
勝負の世界には「グッド・ルーザー」という言葉も存在しているのである。

なぜか。

それは、結果として勝負に「負け」たとしても、
その競技における “本質的な勝負” に果敢に挑み、
健闘した選手に対しては、その姿勢と事実そのものが称えられて然るべきである、
という、フェアネスを尊ぶ精神が “技を競う世界” の根底にはあるからだ。

ゆえに、
メンタルトリックは勝負における数ある技巧の一種ではあっても、
競技の本質に照らしたとき、やはり傍流に位置づけられるしかないものである、
と、わたしは考えている。

であるから、
個人的にはメンタルトリックの過度の重用については
擁護の姿勢をとることはできない。

が、彼の場合、
試合の導入部に “猫騙し的” に仕掛けるにしては散髪までしてきてしまうとか、
なかなか気合いのこもった仕込みをしてきているわけで、

とにかく、
東日本大会で「試しに来ただけだ」「試合は譲(る)」とか言っていたことを思えば、
本気度、というか、挑戦者決定戦に対するそれなりの真剣度は伝わってくるので、

“じぶんのための「誰かのため」” とか、
“キャピった「千早のマネ」” を挿入してくる事態には
正直モヤモヤはさせられるものの、

これももうこの際 “彼の特性” として納得するほかないのだろう。

--------------

それにしても、
「その顔が見たかった」のか…。


(ドS、アンド、性的。)

じぶんが行き着きたい、と、願う場所にいるその相手を
無理矢理じぶんと同じレベルに引きずり下ろして叩きのめそうとするその矛盾…。

そうまでしないと彼は自縄自縛の不幸から抜け出すことができない、
という理屈は分かるのだけれども、

そのような図式では
むしろ彼の人間としての度量の狭さをあからさまにしてしまうばかりなので、
なにか他に方法はなかったのか、とも思う。

が。
この経験を糧に、彼は男としての度量をデカくしていく、という、
そういうストーリーが用意されているがゆえの、
今の悪党ぶりなのだ、とすれば、致し方なかろう。

(なんだ、この「致し方ない」という言葉ににまみれた書きぶりは…)

  -------------

ダラダラと書き連ねてしまった。
起承転結が無茶苦茶である。

なお、
冒頭の本の話からだいぶ横道に逸れてしまったけれども、
今回の結論は、

ローリング・ストーンな若者たちの見守りっちゅうものは
なかなか根気のいることよのぅ…、ということです。

はい。


*    *    *    *    *

ちなみに、
冒頭の書籍情報を参考までに。



「うしろめたさの人類学」 /  松村圭一郎  / ミシマ社



ざっくりと概要を紹介しますと、
エチオピアでのフィールドワークを下地に
「贈与論」の視点から、公平な社会に至るための可能性を探る、という内容。

ご興味があれば、どうぞ。






2017年6月6日火曜日

(少々ネタバレ)ちはやふる182首所感



182首読了。

今回は東西各予選における戦況(及びその周辺)
実況中継的お話であったけれども、
情報量がなかなかの大盛りで、
感想もどこから手をつけてよいものやらと悩ましく。

なお、
憂慮されていた太一と須藤さんの賭けについては
須藤さんのオトナ対応によりあっさり
スルー。
なによりである。


太一も大きく出た割には、
それ以上煽り立てるような言葉を吐くこともなく、
ああそうですかまったくもって想定内でしたよええ、的

無抑揚な表情を浮かべるに留まったし。


そもそもこの件、
太一的には肯否の如何によらず、
とにかく須藤さんのメンタル城壁に
ピンホールを開けられればそれでよし、
侵食の糸口を仕込んでおく事こそが至上目的、と

思っていたであろうから、


まさかこの件に
千早が闖入してくるとは
思ってもいなかったのじゃないか。

超聴力で太一の言葉を捉え、
脳髄反射で飛び出したはいいが
左足小指の負傷が尾をひくのか
ひっくり返って顔面を畳にしたたか打ち付けながらも、


そんなことは絶対に言ってはならない、
してはならない賭けである、
と必死に、そして懸命に進言してくる千早
を前にして、

わずかに

感情に揺らぎが生じたふうに見えなくもない、太一。

(少ぅしだけ目を見開いている感じに見えるのだけども。)


そしてそんな千早
の言葉をうっせえ綾瀬と遮って、
(そんな賭け)乗らねーよふざけんな、

太一に言い捨てる須藤さん ―。


なんというか…この一連の場面は…いいな。


「対周防共闘軍」ふたりの
体育会系的関係性の深まり具合が
萌えレベルにまで推移してきているところとか、

悪を演出してみたところで
千早と直接対峙して
自尊心の基部に触れられるような目にあってしまうと
やっぱり動揺を抑えることが出来ない太一とか ―。



いやはやこれは…妄想ネタの満艦飾。

(※個人的な感想です。)


特に須藤さんのイイ兄貴っぷりは特筆に価する。

(※個人的な感想です。(2回目。))


これまでの須藤さんというのは
ちょっと憎い人風味で味付けされていたけれども、

キョコたんに読みを褒められたときの喜びようだとか、
じつはかるた協会会長になる夢をあたためていたりだとか、

彼の中の無垢な部分が発掘されてからというもの、
好感度は飛ぶ鳥を落とす勢いと言っていい。

(※個人的な感想です。(3回目。しつこい。))

しかも、
千早との加速度的な親密ぶり
には、
カワイさ余ってイジメずにはいられないという、
極めてS的性向の高い偏屈な愛情があふれてるし。

なんとまあまったくもってけしからん素敵男子であるな、
須藤さんは。

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それはさておき。

今回試合の場面が描かれているのは、


西田くん × ヒョロくん
太一 × エロム先輩
千早 × 桜沢先生
原田先生 × 五十嵐専任読手


の4組。

戦いに臨む思いが
各選手
それぞれから語られているけれども、
 

中でも特筆すべきは五十嵐さん、原田先生、桜沢先生、
及び観戦者としての猪熊さんのそれ、ではなかろうか。

試合会場全体の状況を把握し、
一試合約90分に渡り常に円滑な試合進行に注意を払いつつ、
自らにおいては適正な発声と読みを鋭意保たねばならないという、
集中力と体力をたまさか要求される
読手という役割を15年に渡り続けてきた五十嵐さんの、
読手としてよりも選手として試合に臨む方が
余程容易いという本音や、

クイーン戦において
選手として挑戦し続ける強い気持ちを
猪熊さんから受け取った桜沢先生の、
“今度は私の番”という新たなる決意と、
じぶんが “若い子を
キッチリ挫折させる” という
責務を負う年代に至ったことに対する自覚、

そして、
幼き子どもを抱えて選手を続けることの困難さから
今はもう降りても
いいと感じてしまった
猪熊さんの自らに対する失望感や、

若さがもたらす全能感は
物語の主人公はじぶん以外にはないと思わせるであろうが、
そんなじぶんも、他の誰かの物語においては
たったの一部分でしかないのだよ、という
原田先生の
皮肉に満ちた、しかし絶対的真実の引用等々 ―。


一定の人生経験を経てきた人々の口から語られる
これらホロ苦告白には、グッと肝をつかまれる。

特に原田先生の、

“どんなにかけがえがなくても誰かの一部分”

という独白に重ねるように
太一と麗子母の親子が描かれている場面などは
とても痛々しく、そして、切ない。


親がどれだけ我が子をかけがえの無い存在と思うても、
子は親の元を離れてゆくというのが世の習いであり、
ゆえに母としての己の存在も、
息子にとっては彼の物語の中の一部分でしかないというじじつ。

そしてそのじじつを身に刻みつけるかのように、
我が子をするどく見つめる麗子母。

美しくも厳しさを含んだその横顔が物語るのは、
遠くない未来に確実に訪れるであろう
子別れへの覚悟なのか、或いはまた別の感情なのか ―。

この親子も早く和解できればいいのに、と。


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最後に。

我らの村尾さんが…ムラオさんが…っ!
小石川ポカ作くんにまさかの負けを喫してしまうという異常事態に!

念願の大石天狗堂に就職し、
今年から西日本予選に参戦してきた小石川くん。
…くそぅ…ノーマークだったぞ…ポカ作め……。

ここにきて、
しかもよりによって、村尾さんを倒してしまうとは
なんて憎いことだ。

通常なら好きな子の組にソートしている君だけれど、
今回に限ってはとても憎いよ…!!

 
だが、
村尾さんの敗戦を知った新くんは
俄然燃え立った様子であったので、

きっとどの時点かの試合で(できれば決勝戦がいい)
村尾さんの無念をキッチリ晴らしてくれるものと期待している。

新くんよ、頼む。
村尾さんの仇を取ってくれ…!

それと、出ました…西日本予選名物、
由宇ちゃんの「験担ぎ弁当」が。
今年も。

ただし、 
昨年の教訓を生かしてか、
充分に加熱を要するメニューでの攻勢の模様。

ハム、豚、牛、メンチのカツ(勝つ)づくしとおやつの羊羹…
…ってようかんは “ you can “ に掛けてるのか!
(ダジャレか…!)

験担ぎの執念、えげつないな由宇ちゃん…。
あと指摘させて頂くなら、お弁当の取り合わせな…。
(カツと羊羹て…)

カルターの方々は
試合前に固形物を取らない主義が多数派のようだけれども、
やはり今年も由宇ちゃんのコレを食べるのか?
新くんよ…。

まあ…食べるのだろうな、律義に。
(わかるよ…それでこそ綿谷新だよ…)

だが、
適度に自主規制はしておいたほうがいい、
…ということだけは強く具申しておくよ。
2年連続の腹下しはさすがにアレだと思うよ?


と、いうわけで、次回は6月15日。

はたして、
西の方の試合は見られるだろうか…。
 
 
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さて、
ここでひとつ告知させて頂きたく。


今週末と来週末の土曜日の夜に
ちはやふるについて語らうチャットが開催されます。


チャットのお部屋名は「おしゃべりしよっさ」。


        ↓↓↓



 

 
リアルでは身近にちはやふるについて
お話できるひとがいないのですよね…という方、


あるいは
とにかくちはやふるについて、
お話しまくりたい!という方、etc…。 

是非ともこの機会に
「おしゃべりしよっさ」に参加してみませんか?

開催日時は以下のとおりです。
     
      ↓↓↓

--------------------------------------------------------------

 ○ 6月 3日(土)22:00~(終了)
 ○ 6月10日(土)22:00~
 ○ 6月17日(土)22:00~

 ■チャットルームのアドレスは、
  
  http://chat.kanichat.com/chat?roomid=chihaya
 
---------------------------------------------------------------


みなさまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

なお、
チャット参加の前に一度皆さんのお話ぶりを見てみたい、
という方は閲覧のみの参加も可能です。


是非ご一緒に、ちはやふるで盛り上がりましょう!





2017年5月28日日曜日

(少々ネタバレ)ちはやふる181首所感



181首読了。


記事を上げるまでに少しぐずぐずとしている間、
なんと我らがまっけんさんが




『 新田 真剣祐(あらた まっけんゆう)』



…というお名前に改名されて、ちょう驚いた次第。


もうこの「氏」は、アレですね、「あらた」くんですね。



それ以外にいったい何があると?
それくらいまっけんさんが「ちはやふる」を、
そして「綿谷新」という役を大事にしてくれているという
左証といっていいのではないか。



ますますまっけんさんを応援する気持ちが高まりました。
まっけんさん、この氏に決めてくれて有難う。

大好きだ。




------------


さて、本編ですが。


速水さんと千早の勝負は千早が勝利。
順当といえば順当な流れか。



千早の気持ちの切り替えと集中力のV字回復も驚異的だったが、
じつは一方で速水さんも例の絆創膏の一件について
判断を誤ったのではないか?という迷いを抱えていた様子。



そのことが直接の敗因であったかどうかはさておき、
その負けた速水さんの顔面の扱いが…や、ちょっと待ってあげて?



彼女って新メシがおかわりができるくらいの
しゅっとした少年風麗人キャラだったはずではないの?



彼女の泣き顔の扱いがあんまりえげつなかったので、
我は悲しいです。(ぶさいく過ぎるよ…)














(えぐっえぐっ……)


その後速水さんはゆーみんさんに
翠北会入会を申しつけられていたけれど、
彼女は近々ゆーみんさん直系の妹弟子となるのだろうか。
(なってくれたらいいのに。)



持っているものを受け渡したい、
次世代の伸びてゆく姿を見たい、というのは、
生き物の根源的な欲求のひとつであるけれども、



近頃のちはやふるでは、
この“引き継がれる”ということについて



瑞沢、北央、富士崎等の世代交代や、
猪熊さんのご出産、
ゆーみんさんの“速水さんが伸びてゆく姿を見たい”や、
あの周防さんが太一を自らの側に置いていること等、


様々な引き継がれのあり方に焦点が当たっていて
興味深いことであるな、と思ったり。



-------------


そして、
千早のZ軸浮上の件。



この札認識については唐突に語られた気がしたけれども
千早自身がその“認識”と“実際”が合致している、と、
確信を持って言える様になったのは
ほんの最近になってから、ということなのだろう。



その確信を補完するきっかけとなったのが
“対周防共闘”を組んだ、須藤さんとの厳しい練習による
スキルの底上げと、




「札が浮いて見えるというのが
 綾瀬独特の“聴こえ方”なのではないか」




という彼の指摘だったのかもしれない。


何だよ須藤さん、ちょうイイ兄貴じゃん。
相変わらずクチは悪いし、
JKの顔面ワシ掴んで引きずり回したりしてるけども。



とにかく、
何だかんだ言ってつい遠慮なくイヂメたくなるくらい
気に入っているのだな、千早のことが。


いや、
むしろ千早をぞんざいに扱っていいのは
オレだけ的S扱いか。(special の「S」ね。)



うむ、萌えるな…。



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さらに、今回の注目点。



これはやはり太一のダークフォースが開花して
とうとう主役級キャラクターを侵食し始めたことであろう。



白波会に籍を置いているのは上位戦になるまで
同会の強豪選手(e.g. 原田先生、広史さん etc. …)に
当たることから免れられるから ― 、という、

利害第一主義のもの言いをしているけれども、
君…言い方とシチュエーションな…。

(居るやん近くに…同会の面々が…。)



しかもこの変な空気感を清めるべく、
せっかく原田先生が話し掛けてくれてるのに
お前意識し過ぎじゃね?…って
須藤さんが気を遣ってくれたというのに、


言うに事欠いて






「また賭けしましょうよ須藤さん」

「先に負けた方が競技かるたをやめる(っていうのどう?)」





…とかってキミ…。

これまたちはやふる史上最悪の賭けネタを提案してきたよ。
しかも半ニヤケで薄笑いながら言うとかって……。



太一くんよ、
キミはいったい何処へ向おうとしているのか…。




さすがの原田先生も
このふざけた提案は聞き捨てならないようで、
須藤さんの下のコマで、
「ファッ?!!Σ( º言º"╬)!!? 」ってなってるよ?

(広史さんも西田くんも 

 「…(ºДº"lll)オイ…?!」ってなってるぞ?)


太一がこの賭けをあえて須藤さんにぶつけてきたのは、
彼が瑞沢メンバーだった頃からのいわゆる
“定番ネタ”だからというのもあるようだけれども、
ジョークにしてもちょっと笑えるレベルではないな。



例えばこの賭け提案を善意に解釈したとして、

退路を断つくらいの絶対的緊迫感をもって自らを追い詰めなければ
この先の勝負(新との東西挑戦者決定戦を想定しているのか?)を
制することは決して出来ないであろうとの認識に基づく
必勝奮起の決意表明としてのそれなのか、



或いは
そのままストレートに受け取るとして、


単に周防式メンタル制御術の魔法陣を
試合前から相手に念入りに仕込んでいるだけなのか ―。



現時点における彼の真意は不明だけれども、
とにかく悪意甚だしい太一のこの使嗾に対し、

個人的には須藤さんには
マトモに取り合わないでおいて頂きたい、と
願っているところである。



---------------


と、いうワケでここはひとつ、
須藤さんには、




「勝負なんてものは勝つ時もあれば負ける時もある、
 たった一回負けることくらいで
 この世界に見切りをつけるなんていう
 中途半端で生っちろい覚悟で俺はかるたやってねえ、
 お前のモチベ上げに加担してやるほど
 俺はお人好しじゃねぇしバカでもねぇ、
 そんなクソみたいなしょうもねえ賭けに誰が乗るかよ、
 調子乗ってんじゃねえぞ、このヴァーカ、ヴァーカ!!」




…って言ってもらいたいですね。



そりゃあ
「何だコラテメェ受けて立つ!!」という展開になった方が
お話的には盛り上がるとは思うのだが、



須藤さんにも太一にも、
こんなしょうもないことでかるたをやめるような事態には
絶対になってもらいたくはないゆえ、



太一の焚きつけたこの煽りの顛末については、

「肩すかしで須藤山の勝ち」

…とかにしておいてもらえないか、と。
そんなふうに期待している次第。



--------------


それにしても、
一時は瑞沢王国臣民の皆さんからの赦しを得ることで
太一王子は救われたようにも見えていたけれど、
あれはどう解釈すべきだったのか。



札も暗黒面から回帰して光輝いていたというのに、
彼の今回の振る舞い(=勝ちに来たのでなく翻弄しに来たとか)は、
回帰したはずの心象象徴(=輝く札)と
まるで合致していないではないか。



「もう遅い、これで終わり」といわれる一方で、
「新しいはじまりの時にいる太一」ともいわれてたのに、
君の「新章」はこんな暗黒面から始まってしまうのか?



そして、
「次がある」「前に進む」「同じ決意を返すから」
という、あの輝かしくも誇らしい宣言はいったい何処なりや?



少なくとも現状を見るに限っては、
君の「決意」は千早や新のそれとは
まるでかけ離れてしまっているように思えるよ。



まったくもってわからない…。


………わからないのだけれども、

ただグダグダぐるぐるして
目的も思考も全てにおいて暗澹溟濛としていた頃よりも、



たとえそれが悪意(あるいは復讐か)の下に
達成されるものであったとしても、



自らが進むべき道を「これ」と定めて、
成すべきことを成そうとしている
今の太一の方が断然魅力的であるし、

迷いを持たず前進するその美しさと高貴さについては
まったくもって比類がない、

それだけは確かだ。


“ 嘆息が出るくらい美麗な悪の華 ― ”

  (断っておくが、これは賛辞である。)



納得ゆくまで突き進んだ先には
きっと救いがもたらされるものと信じて、
今はただ太一の為す事の成り行きを見守るのみ、か。



次回の展開に、期待。






 

2017年5月7日日曜日

(遅ればせながらまとめ) ちはやふる2016年冬weekと2017お花見オフ会




標記の件について、
遅ればせながら取りまとめを以下に記録。


個人的には年末年始~年度末&新年度始期という
オフィシャル的に少々多忙となる時期に
ちはやイベントが重複してしまったため、
ここにきてようやく情報整理することができた次第。


今となっては遅すぎの感はあるのですが、
とにりあえず、記録しておきたいと思います。



■ ちはやふる公式イベント「冬week」

2016年度12月初旬に行われた冬week。
新のバイト先(という設定)である
「勝義書店」にて開催された「綿谷新ギャラリー」。





ギャラリー内はまさに “新祭り” で、
彼にまつわるよりすぐりのシーンの複製原稿と
カラー複製原画が展示されておりました。
(なお、ギャラリー内はお写真OKでした。)







 







(個人的に好きなシーンを抜いてみました。)



   (たいちー!ちはやー!)

 
  (よろしくお願いします。)


商品化したいキャラクター投票も行われており、
当方、勿論ムラオさんに熱き一票を投じまして、
付設のノートに



「ビジネス用ムラオデザイン&カジュアル用新デザインの
 兄弟弟子仕様眼鏡フレームの商品化を熱望」



の旨を記載しておきました。



   (ムラオさんに一票。)



そして 、
何をおいてもこのギャラリーのイチオシは
「綿谷新からのプレゼント」 だったものと思われます。


       (コレ↓)


















119首における例の台詞を、
しかもあの場面をイメージした小部屋で
聴かせてくれるという趣向のこの企画。








           (妄想…)

これほどまでに機密性の高い個人情報を
まさかの一般公開という現実世界においては

罰ゲーム以外の何ものでもない方法で
晒される高2男子の人権はいずこや…!?

…という同情さえもあっさり棚上げして、
我らはバッチリ彼の告白を拝聴させて頂きました。


…いや…
ホント………すまん…新くんよ。


そして後日
このプレゼントを体験された他の方とも
お話していたのですが、
通常の新ボイスよりも若干低めの声でしたよねと。


これを言葉で説明するのは大変困難ではあるのですが、

彼女を慕わしく思う気持ちが彼の身体の容積を超えて
まるでじぶんの全てを差し出すかのごとく

身体の芯から発せられたような……とでも申しましょうか、

熱を含んだオトナの男を感じさせる声でした。

(……高校生相手にどんなたとえだか。)

勿論、台詞は福井イントネーション。
(方言男子の破壊力たるやもう…)


いやはや、これは大変よき企画でした。

しかし新の “コレ” を聴いてしまったら

アニメ3期を期待せずにはおれませんですね。




 
■非公式オフ会「あわらお花見会」


4月初旬、あわらの桜の開花に合わせて開催されたオフ会。
地元及び各地からあわらの地に有志さんが集合いたしまして、
ちはやふるゆかりのスポットを巡り、


その後イベントスペース「a-cube」さんで
百人一首ケーキや持ち寄り土産を頂きながら、
ちはやふる談義に花を咲かせた次第です。

とても楽しい時間を過ごすことができました。









※なお、これまで「a-cube」さんのアカウントで
  Twitterから発信されていたちはや関係の
   様々な情報につきましては、2017年6月以降、
   「非公式ちはやふる あわら市民委員会」さんから発信されます。

  フォローはこちらから → https://twitter.com/awaratihayafuru
 



地元外の参加者さんとはその夜
「グランディア芳泉」さんに宿泊、温泉を堪能し、
翌日はあわらでは何度もお世話になっているHさんに
福井市内をご案内頂きました。


(Hさん、毎回本当に有難うございます。m(_ _)m)



こちらは
原作の「再会の土手」のモデルとなっている桜の並木。






こちらは
映画の「再会の土手」のモデルとなっている桜の並木。







そして福井市内に所在する
「こども歴史文化館」で行われていた

『名人展 ~ かるた王国ふくいのちから ~』も
見学させていただきました。


















 
こちらでは川﨑名人と三好準名人の人となりや戦歴、
そして福井県と競技かるたの歴史などとともに、
様々な種類の百人一首かるたの展示がありました。











中でも我々が目を奪われたのが、
光琳かるた(複製)のZ軸浮上展示!
         

          (コレ↓)










 
これはもう学芸員さんが
確実にちはやふるの連載読者であるね!と
現場で盛り上がった次第です。


(ちょうど180首が掲載されて
 間もないくらいの訪問でしたので。)




オフ会に参加されました皆様、

ご協力まことにありがとうございました。

そして、
現地ではいつもご親切にご対応下さいます

Hさんに再度感謝を申し上げます。


以上、
簡単ではありますが記録まで。








2017年4月30日日曜日

(少々ネタバレ)ちはやふる180首所感




ちはやふる180首読了。

いよいよ東日本予選が本格始動、というところですが、
まずは女子組の展開がクローズアップされる様子。


(ドラマチックな何か持ち男子の活躍は今回お預け。(/_;))



本予選における千早の緒戦の相手は、
冨原西の速水さん。

彼女の武士級のキレの良い取りと所作、
そして艶のある黒髪と切れ長の目元という風貌は、


新不足の読者にとっては
「速水さんふりかけ」で「新くんご飯」が3杯はイケる的
オイシイ画面構成であったものと拝察いたします。


実際、
千早も速水さんふりかけで
あらた飯を食しておりましたね。




( ´-` ).。oO (きれいな渡り手を見ると、思いだしちゃうな…)



自らの手で絶賛藻塩漬け中の男子を想起して
ほんのり頬を染めるかるた馬鹿18歳JKの図…(カワ)。



------------


それはさておき、くだんの速水さん。


じつはオトモダチをつくるのが上手くなかったとのことで、
幼き頃より一人で世界に没入できる書道に精進していたところ、


祖父宅で偶然目にした
光琳かるたの絢爛さと流麗なる書にすっかり魅了され、
高校生になって誘われるがままに競技かるたの世界へ…、
…という異色の道行きを経ていたとの由。



しかも絵と書の違いこそあれ、
奇しくもかるたとの出会いの第一声が



「かわいい…♡」


とは、某クイーンに並ぶ札偏愛ぶり。


その上、
札との繋がりが



「(句のひと文字目の)第一画目」


とか言って、
もうその時点で他のかるた馬鹿の皆さんが
とうていついていかれない次元にいるという、 

それこそ“ドラマチックな何か持ち()” を予感させる
奥深さを秘めている模様…。



(個人的にはどちらの札の一文字めの
 一画目なのかというのも気になるところ。
  上の句の一文字め? 
 それとも順当に下の句の一文字めなの?)



いずれにしてもユニークが過ぎて
ある意味変態的ですらある彼女のこのかるた特性は、


しゅっとした男役ヅカガール的外観とあいまって、
ここにきてギャップ萌え必須なナイスカルターが
投入されてきたなあ、と。
(めぐむたんに次ぐ逸材だな。 )
御馳走様です。


また、
経緯の詳細は不明だが、、
なぜだか翠北会のユーミンさんが
速水さんをピンポイントで気にかけている、
ということが今回語られておりましたが、


元クイーンの目からしても、
速水さんの戦法は何かこう…∑( ゚д゚;)ハッ! と
思わず目が奪われてしまう
独自性の高いものなのでありましょう。



それとともに、
ユーミンさんが「指導者」としての立場で
他会の後進に積極的に関わっている姿にも
ぐっときた次第。


翠北会の面々は、
会員同士の結束が固くて
仲間ををとても大事にする一方で、


誰れ彼れとなしに面倒を見ずにはいられない
陽性のお節介要素も合わせ持っているようで、
(西田くんなんかまんまそうだ)

主催者である北野先生の江戸っ子気質が
よい意味で会に色濃く反映されているな、と。


こういう
“カルターみな兄弟”的懐の深さを持つ会こそが、
かるた界に潤いを与え、豊かにしてくれているのだろうな。
素敵なことだ。



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一方、
速水さんと対戦中の千早はといえば、
試合に臨むにあたっての
心身の準備不足を、東日本予選という、
今期何をおいても集中して臨まねばならない
最重要トーナメントの、しかも緒戦本番にそれを思い知っている、
という体たらく ―。


これがクイーンと頂上決戦での再戦を誓い合った
人間の態度であろうか?…と、
当方少々モヤっとした次第。



このエピソードは、
目の前の出来事に心がとらわれ過ぎて
本筋がお留守になってしまう
“猪突猛進の反作用” が千早の弱点のひとつであることを
再提示した態なのだろうと理解しているが、


こういう態度を表に出してしまうのは
対戦相手である速水さんにも、
そしてその先で今度こそ約束が果たされることを
信じて待っている詩暢ちゃんにも
大変失礼でありましょう。



故に速水さんが千早に対し、
同情の余地をはさむことなく、




「(絆創膏なんか試合中の今)持ってません。」




と武士らしく一刀に伏したのは、
いたってまっとうな反応であったと思うよ。



しかし、このやり取りのおかげで、
自らのやらかしを自省した千早。


あらためて速水さんの
奇天烈な札との繋がりを前にして


“ちょ…ナニコレ、
 この子のかるた、めっちゃ、変!”


と、「かるた超楽しいモード」のスイッチがオン、 
途端にゾーン入りして、
「Z軸札浮上理論」を展開するという驚愕の切り替えっぷり。



これまでの、
「色がついて見える」から 「浮いて見える」…と、
札認識の方法が変化した千早だけども、

このような状況を目の当たりにすると、

“超人的な札認識能力”が備わってくることこそが
一流選手のサイン、というような感じがして、
君らはドラゴンボールの人かよ!…ってなる。



今のところ、
このような第六感的表現で札との繋がりを語っているのは
一部の選手に限られているけれど、

(ex. 周防さんの“音に色”、詩暢ちゃんの“糸”と“小人さん”、
   速水さんの“一画目”等。)


聴力、視力、記憶力及び
その情報出力装置としての身体運用能力という、
五感及び既存スペックの特化という表現内にとどまっている人々
(ex. 猪熊さんの“聞こえたら取る”、新の“超加速”等。)も、
そのうちこんなふうに語りはじめたりするのだろうか…。


(まあそれはそれで、興味はあるのだが。)



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さて、
次回181首までは少し時間があいておりますが、
この間に続編実写映画の新キャスト発表があったりと、
ちはやふる近辺が再びじわじわと熱くなってきておる様子。



個人的には漫画本編と映画のエンディング(=“結び”)が
はたしてシンクロするのか、しないのか、という点と、


映画のみの新キャラ「我妻伊織」ちゃん
(@清原果耶(ライオンのひなちゃん役もやってます))の
からみっぷりが、新と千早にどう影響するのか、という点が、
非常に気になっているところであります。